東海道本線旧線  用宗〜焼津 静岡県 2006.2.5踏査

   静岡市と焼津市の中間にある大崩海岸は、まさにその名の通りの難所であり東名高速の渋滞のメッカである日本坂トンネルもちょうどこの付近である。この急峻な地帯を抜けるために数々の隧道が掘られてきたが、今回ご紹介するのはその中のひとつ、石部隧道である。鉄道廃線跡を歩くシリーズ等で、そのインパクトのある姿を目にした人も多いと思う。もちろん私もその一人であり、いつかこの目で直接見てやろうと心に決めていた場所の一つでもある。私の中では、廃隧道の中のキングオブキングスと位置づけられる物件である。
 さて、簡単にこの区間の歴史を紹介しよう。この石部隧道を語るのに必ず出てくるのが「弾丸列車」と呼ばれた、戦前の新幹線構想である。東海道本線のバイパス路線としてもちあがったこの構想は、軌間1435ミリ、高速走行の為に踏切を廃止、つまり高架鉄道にするという、まさに現代の新幹線の元になった高速鉄道構想であった。実際に工事は着工し、この区間でも日本坂トンネルが着工し完成したが、戦局の悪化により弾丸列車構想は頓挫してしまう。
 以下は鉄道廃線跡を歩く[のP124より引用した歴史である。
 
明治22年 石部隧道開通 磯濱隧道開通
 明治44年 単線並列により隧道増設
 昭和19年 弾丸列車用日本坂トンネル完成に伴い、一時的に石部隧道、磯濱隧道のルートを日本坂トンネルに変更し、その間に両隧道の改良を計画したが、戦局の悪化により工事中断。
 昭和23年 アイオン台風により石部隧道の神戸側坑門が海岸に倒壊。
 昭和37年 東海道新幹線の着工に伴い旧線の改良工事が完成。石部・磯部の両隧道は一本の石部トンネルとして切り替えられる。
 昭和39年 日本坂トンネルを東海道新幹線用として開通。

と、簡単に紹介したが、興味のある方は弾丸列車関係の書籍を漁ってみるのも面白い。


 東海道本線の用宗駅から国道150号線を西へ向うと、なにやら怪しいトンネルの入り口が見えてくる。穴が3つ・・・。もちろん3線あるわけではなく、真ん中の穴が旧トンネルの上り線の位置らしい。それよりも、鉄道廃線跡を歩く[では存在していなかったフェンスが新設されている。考えたくはないが、旧坑門への廃線ファンの侵入阻止の為だとしたら、非常に残念だ。やるならばれないように・・・じゃなく、節度をわきまえて行動したいものだw













 遠くに伊豆半島を見ながら国道150号線をさらに西へ進む。ここは国道の廃道もあり、新道はなんと海上にある。
 国道の海上橋を渡り、すぐにトンネルに入るが、そのトンネルを抜けたところが目的地である。














 ちょっと国道脇に車を止めて、崖下をのぞいてみる。わずかに旧線の路盤が残っているのが、わかるだろうか?
 しかしほとんどが崩落しており、見る影もない。

 かなりはっきりとしたマニア道が国道脇から海岸へ向っていたので、素直にしたがって降りてみることにする。














 

 海岸に降りる途中に、突然隧道が現れる。これが石部隧道の上り線側の坑門である。一瞬はいろうとしたが、やめておく。よく見ると無数に亀裂が走っている。自分が巻き込まれることもそうだが、この廃隧道を崩落させるきっかけをつくる人にはなりたくない。














 急な斜面にへばりつくように海岸へ降りると、そこには無数の路盤の残骸が転がっていた。
 つまりは私が今立っている場所がかつての路盤の下になる。
 台風ごときでとお思いの方もいるであろうが、このあたりの海域は世界中の船乗りから恐れられている海域でもある。それだけ、トルクを持った水のパワーというのは人間が巻き込まれたらどうしようもできないということが良くわかる。











 ちょっともったいつけて後ろを振り返ると、やっとめぐり合えた光景が広がっていた。仕入れていた知識と寸分違わぬ光景は度肝を抜かれる。遠くに見える富士山が何となくミスマッチだ。
 さっそくブツに近づいてみることとする。
















 おぉ・・・本当に落ちてるw
 こんなのにつぶされたらいやだなぁと思いつつ、さらに接近。





















 うーん・・・これはやっぱりまずいでしょうw
 わかります?片側の残った坑門の下は「空気」です。誰だか知らないが、へなへなとした棒をつっかえ棒にしているが、まぁ気持ちがわからないわけでもない。でも無駄ということは一目瞭然である。しかもよく見ると、かなり巨大な亀裂があるのがわかります。
 ここにもぐれと言った方々、無理でしたw本気で死にそうw











 路盤があった場所には、暗渠の跡もあった。あまり紹介されていないのでスルーしてしまうところであった。




















 急な斜面も帰りはロープ付きw
 磯濱隧道の東京側坑口は現存せず、神戸側坑口が現在の石部トンネルの神戸側坑口となっている。
 















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